ネイバーズグッド《2024年11月号》開催迫る！すぎなみ みんなの大運動会 ほか

あとがき（代表コラム）

「好き」を仕事にすることと担い手不足

　「好きなこと」を仕事にする。昔からどうもその考えに馴染めない自分がいます。もしかしたら、側から見られたネイバーズグッドは、好きなことを仕事にしている会社、と思われているかもしれません。もし、そうであれば、それはそれで嬉しくあります。儲からないことばかりやって、かわいそうな会社と思われるよりは断然よいです。

　「好き」は大きな原動力になります。やはり「好きなこと」に触れられているとパフォーマンスが上がり、細かな部分までも行き届き、クオリティーが上がります。なので、社員や外注さんには、なるべくその人が「好きなこと」に触れられる仕事をお願いしたいなと考えています。

　しかし、経営者という立場となると、あまり「好きなこと」ばかりに傾倒させるわけにはいけません。パフォーマンスやクオリティーは上がるものの、生産性が上がるとは限らないように思います。没頭するがあまりに時間をかけすぎてしまったり、他の業務へ取り組む時間が減り、全体のクオリティーを下げかねません。

　「好きなこと」に取り組むという価値はもちろんありますが、個人的な価値ではなく、社会的な価値に目を向けてみると、誰もやりたがらないことにこそ、その価値が埋まっています。よく、「トイレ掃除をするとお金持ちになる」、なんて言われたりしていますが、それがその所以かもしれませんね。

　今号のTopicksにて、阿佐谷ジャズストリートについて触れました。イベント自体に関わりたい方はたくさんいます。実行委員の方々しかり、今回もたくさんのボランティアさんに支えられました。しかし、このイベントを実現させるためには、約1年ほどをかけた大変な労力が伴います。華やかな舞台の裏側には、消防など行政各所への書類のやりとりをはじめ、お客さんや参加店さん、実行委員を含むボランティアさんに対する問い合わせ、またはクレーム対応などなど…。とても「好き」とはかけ離れた業務があってこそ、ようやく地域のみなさんの関わりしろができていきます。

　こういった部分を「やりたい」という人は、まずいません。休日はもちろんのこと平日の日中をはじめ、深夜にも作業が必要なことも多く、物理的な負荷も大きいです。そしてなによりも人間関係。有志で集まる皆さんの「善かれ」と思っての行動は、必ずしも組織にとってプラスになるとは限りません。場合によっては対外的な信頼を欠くこともよく起こってしまいます。しかし、それはみなさんの善意より発生しているため、誤りを指摘し理解してもらうことや責任の取り方がとても難しいところであります。

　巷で言われている「担い手不足」というのは、この部分を指します。これは、阿佐谷ジャズストリートに限った話ではなく、商店街や町会、大小問わない地域のイベントなど、全てに当てはまると思います。

　そういった部分を仕事として取り組んでいるのが、ネイバーズグッドです。おかげさまで、少しずつ頼りにしてくださる方や商店街、地域が増え、年間通してさまざまなイベント制作や地域デザインに関わらせていただけるようになってきています。

　杉並区の印象が強いかもしれませんが、巣鴨の地蔵通り商店街では商店街方々で運営する公式SNSの設計に携わらせていただいたりもしています。SNSの運用代行とは違い、どうすれば商店街の方々で自律して運用できるかを設計、提案をさせていただいたり。そんなお仕事もいただけるようになってきました。

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　目の前の方の「困った！」に応え続けてきた中で、地域にある切実なニーズがよく見えてきました。ネイバーズグッドが恵まれている点は、そういったニーズに対して応えることが「好き」な（または嫌いじゃない）メンバーが揃っていることです。お金ではなく、人として助けたい気持ちが勝る社員たちによって支えられています。とても稀有なことです。

　なので、私の立場としては弊社のミッションである「貢献者が疲弊しない社会」の実現のためにも、提供する価値をお金に換える努力を惜しんではなりません。その過程においては、「好き」とか「苦手」だとか、そういった基準はなく、誰もやりたがらないことをどう動機付けして使命に変えていくか。それに向けて、淡々と行動していくしかありません。そして、社員や外注さん、そして特に地域で関わってくれる方々にはなるべく、その人の「好き」に近い位置で楽しんでもらう環境を整えていくことで、熱量を帯び、お金も回り始め、担い手も少しずつ増えていくのではないかと思っています。