同じ街に暮らしていても、見えている景色は人によって全く違うかもしれません。この番組は、障害当事者や障害者に関わる仕事をしている人をパーソナリティに迎え、リスナーから届く素朴な疑問にフラットに答えていく音声番組です。自分とは違う毎日を生きてきた人の話を聞くうちに、知らなかった世界や、自分自身の生き方のヒントが見えてくるかもしれません。第2回の放送内容をダイジェストでお届けします!

休日の過ごし方
村上 第2回目ですね、木津さん。6月は祝日がないのが残念ですが、休日はどのように過ごされていますか?
木津 体を休めるのも大事ですが、出かけたい時は一人で家の近くのカラオケに行きます。最近は店員さんも優しくて、車椅子の私に合わせてテーブルを移動してくれたりします。その時に流行っているアニソンや、ゲームの主題歌などをよく歌います。
村上 アニソンは盛り上がりますよね。私はヘビーメタルが好きで、仕事終わりや休日にライブハウスへ行っています。最近はバンドの来日ラッシュで非常に楽しいです。
木津 意外な趣味ですね!ライブでは縦揺れとかしているんですか?
村上 縦揺れどころじゃない激しさです(笑)。でも激しく楽しむよりは、最前列のいい位置を確保して、しっかり目に焼き付けたい派ですね。ライブは場の一体感がありますし、名前も知らない常連のファンとその場限りの会話で盛り上がるのも楽しいです。
木津 一体感っていいですよね。同じ「好き」を共有できる場は素晴らしいです。私はアニメを色々見ていたので、いつか「コミケ」に行って現地だからこそ味わえる熱気を体験してみたいと思っています。車椅子でいけるのかわからないですが(笑)。
村上 ファン同士の繋がりや、好きを共有できる場の雰囲気は非常に大事ですよね。日常の延長線上にある非日常を感じられる経験がライブの醍醐味で、「ここで楽しんだから仕事も頑張ろう」と気持ちの切り替えができると、プライベートにも仕事にも良い影響が生まれる気がします。趣味のお話を聞けて親近感が湧きました。
障害福祉の現場が持つやりがいと、最初の一歩
村上 6月は就職活動の時期ですが、障害福祉のお仕事は若者に選ばれづらい現状があります。仕事内容がイメージできなかったりすることが理由ですが、木津さんはどう思われますか?
木津 福祉サービスを受ける側から話すと、福祉は怪我や病気の時に少しずつ社会復帰に向けて立ち直らせてくれるセーフティネットでありパートナーです。誰にでも関係しうることですが、大変な仕事というイメージはあると思います。実際はどうですか?
村上 もちろん現場は大変さもありますが、対人のお仕事だからこそ相手からの反応を直に感じられ、やりがいを見出しやすい仕事でもあります。私の部署は直接当事者と関わるわけではないですが、区立施設や民間施設向けに研修を行う際、皆さんとても前向きに熱い思いを持って参加してくれるんです。現場に持ち帰れる内容を提供でき、それが施設の中で波及していると聞いた時は非常にやりがいを感じますね。
木津 今はITやプログラムのように相手の顔が見えにくい仕事も多い中で、自分の仕事に対する相手の反応を間近に見られる職というのは、ある意味とても大事になっていますよね。これからAIが発達して電子的な作業をお任せできるようになっても、人との繋がりの中にある温度感や雰囲気はデータ化されないものだから、これから人間の得意な部分を活かせる職として、福祉分野はより大事になっていくのかなと思います。
村上 本当にそうですね。障害福祉の仕事は絶対になくならないですし、資格が体系化されているので、自分のキャリアイメージを比較的描きやすいのも強みです。
他には、障害がある方と接したことがないという理由で、障害分野の仕事が就職先の選択肢に入ってこないということも多いと思います。実は、私もここに来るまでは「最初どう話そうかな」とちょっと緊張していました(笑)。でも、今木津さんとお話をしてみて、コミュニケーションの垣根ってないなと思っているんです。対話の最初の一歩を踏み出すために、木津さんからアドバイスはありますか?
木津 我々障害当事者側も「どこまで頼っていいのか、迷惑をかけたら申し訳ない」とコミュニケーションにビクビクしていることが多いんです。どう見られているかが怖くて上手く話せなかったり、障害を負った直後で心の整理がついていなかったりして。実は私たちも皆さんと同じように「どうやって会話していけばいいんだろう」と悩んでいます。
村上 お互い同じ気持ちで、探り合いをしている状況なんですね。それなら、きっかけさえあれば、その後は進んでいけそうですね。
木津 お互いが少しずつ安心できる場に早めに入ることができれば、近づいていけるのかなと思います。
リスナーからのお便り:自分らしさと複数の軸
村上 ここで、いただいたお便りを読んでみたいと思います。就活で安定している仕事を選んだけれど、本当にそれでよかったのか、自分らしく生きたいと思いながらもそれが何なのか分からず迷っている、とのことですが。
木津 悩みますよね。でもいいんじゃないですか?普通は安定した職に入りたいですよね(笑)
村上 安定している仕事を選びたくなる気持ちはよく分かります。自分の生活が安定することによって仕事の質も上がってくると思いますし、自分を見失わないように仕事に向き合うこともできると思います。その心構えをした上で、また違う世界を見てみたいなと思ったら、その時に道をよく考えて探していけばいいと思います。
木津 そうですね。基盤を固めると、何か別のことに挑戦できる余裕が生まれると思うんですよ。例えばブログやポッドキャストなど個人で発信してみるのも一つの挑戦になりますし、繋がりを得るきっかけになります。
村上 軸が一つありつつも、それ以外の場所にまた違う自分を探しに行く。そうした「複数の軸」を持って楽しみつつ仕事をすると、今の仕事を振り返るきっかけにもなって非常にいいのかなと思いますね。
木津 色んな軸を持つことで視点が増えていくし、もしかすると本当の自分や、次に進むべき道を見つけられるかもしれないですよね。目の前の興味あることをとりあえず小さくやってみる、行動を起こすということが何よりも大事だなと思います。
村上 私も「どんな仕事でもその先に誰かがいる」という意識を持つことで初心を忘れないようにしています。木津さんは活動にあたって大事にされていることはありますか?
木津 私も、相手の存在を意識することはすごく大事だと思っています。障害当事者としてバリアフリー化を促進する指摘はできるのですが、それだけではお金や人手の問題で可能性が潰れてしまうこともある。そうじゃなくて、どうしたら「共に生きる」が実現できるのか。相手の立場に立った言葉に翻訳し、相手が「やってみよう」と思ってくれるような伝え方を最近はすごく大事にしています。
村上 押し付けではなく、どうすれば相手とバランスよく仕事ができるか、相手に届く言葉に直してしっかり伝えることが本筋だなと私も大事に思っています。お便りをいただいた22歳の方、こんな感じでよろしいでしょうか。
全編はWebラジオにて!
この番組は毎月第4金曜日に配信しています。障害のある人もない人も楽しめる企画や、障害福祉の仕事を知れるセミナーの情報なども発信していきますので、お楽しみに!なお、区公式ホームページ内の当番組の紹介ページにお便り投稿フォームができました。番組で取り上げてほしいテーマやご質問等をお待ちしております。
配信・発行:杉並区保健福祉部障害者施設支援課
企画・制作:ネイバーズグッド株式会社
