同じ街に暮らしていても、見えている景色は人によって全く違うかもしれません。この番組は、障害当事者や障害者に関わる仕事をしている人をパーソナリティに迎え、リスナーから届く素朴な疑問にフラットに答えていく音声番組です。自分とは違う毎日を生きてきた人の話を聞くうちに、知らなかった世界や、自分自身の生き方のヒントが見えてくるかもしれません。第5回の放送内容をダイジェストでお届けします!

自由に表現すること、同じ熱量を分かち合うこと
村上 第5回目となりました。今月も“純レギュラー”であるNPO法人みかんぐみの村一浩さんをお迎えしてお送りします。
村上 まずは、村さん宛てのお便りです。「アートや音楽を学んだ方が福祉の現場でどんな仕事や役割を担っているのか興味があります。活動の実態や事例があれば教えてほしいです」とのことです。村さん、いかがでしょうか?
村 私が以前勤務していた子ども発達センターでも、アーティストの方の力を借りていました。単に技術を教えるのではなく、楽しい活動を展開することで本人たちも支援する側も「こんな自由さがあっていいんだ」と刺激を受け、お互いに影響し合うためなんです。前にお話しした通り「福祉×アート」はお互いが響き合って広がる力を持っていますね。支援者側の視野もグッと広がり、通常の業務にも良い影響を与えていそうですね。
村上 なるほど、ありがとうございます。続いてのお便りです。「タイガースファンでもある村さんに甲子園や野球観戦のお話を聞きたいです。誰もが安心してスポーツ観戦などを楽しむために大切だと思うことを教えてください」とのことです。
村 実は先週も球場に応援に行ってきました。車椅子の人たちもユニフォームを着てメガホンを持ち、一緒になって応援していました。彼らが通路を行き交う時、周りの皆さんが自然な感じで優しく接していて一体感がありましたね。
木津 私も以前球場に行きましたが、ルールが詳しく分からなくても美味しいものを食べながら一緒に雰囲気を楽しめるのが良かったですね。車椅子席で同じ空間の熱気を共有できるのは素晴らしい体験でした。
村上 障害のある方もない方も、同じ一員としてその場の雰囲気を楽しめる場があるということが大切なんですね。
アートを通じた交流イベント「メジロック」の振り返り
村上 さて、ここからは「アートを通じて出会った若者たちの気づき」をテーマにお話ししていきます。8月と9月に、障害福祉の魅力発見を目的として、豊島区にある生活介護・就労支援事業所「メジロック」での若者を対象とした体験イベントを開催しました。参加者へのインタビュー音声がありますので、ダイジェストでお聴きください。
1回目参加者へのインタビュー
- 「みんなが自分らしく、好きなやり方で描ける環境(ダンボールハウスの中で描く人、手のひらで描く人など)が何でもありで素晴らしいと感じた。美大で計画的にデザインを考えることが多いが、衝動的に描く楽しさを思い出して心が開放された。もっと伸び伸びやっていいんだと思えた」
- 「言葉だけでなく、絵や筆談を通じてアイドルの話などで通じ合った瞬間があり、すごく嬉しかった。」
- 「見てるだけじゃなくて一緒に描くことで心の距離が近づいた感じがした。」
村上 皆さん普段障害のある方との関わりがほとんどなかったようですが、アートを媒介にして素晴らしい気づきがあったようですね。
村 最初は緊張されたでしょうが、だんだん馴染んでいき、アートを介して気持ちが通じ合うという体験をされて、それが全ての原点ですよね。
木津 施設に入ること自体普段ないことで、心配されたと思いますが、メジロックさんは「アートを通じて一緒にやれるんだよ」という空気を作り出してくれていて、いいなと思いながら見ていました。
2回目参加者へのインタビュー
- 「新しい自分を探せたような、自分の世界が一つ広がったように感じた。」
- 「利用者さんが積極的に挨拶してくれたので浄化されたような気持ちです。人を警戒しなくていいんだと安心し、自分ももっと挨拶しようと思いました。」
- 「人見知りする方なので、どうやって話しかけようと思っていましたが、入って行きやすい雰囲気がありました。」
木津 普段決まったコミュニティにいる学生さんたちが、アートを接点に新しく出会い、「こうやって関わっても大丈夫なんだ」という安心感や気づきを得ていたのが印象的でした。人間関係の作り方を模索する現代において、とても大事な視点だと思います。
村 特徴的だったのは「浄化された」という言葉ですね。これは「障害者が純粋で良い人だった」ということではなく、参加者の心にある「自由に表現したい」というアート魂のようなものが揺さぶられたんだと思います。「表現していいんだ」と気づくプロセスは、まさに福祉の仕事と同じで、「一人ひとり違っていい、自由でいい」ということなんですよね。
木津 私も最初は絵に苦手意識があったものの、ローラーでゴロゴロ描いているだけで楽しくなってきて!利用者さんの絵の上に模様を付け加えたりして、夢中になりました。
村上 私も何十年ぶりかに絵の具に触れて、みんなで一枚の紙に色を塗ることで新しい発見があり、非常に良い時間を過ごせましたね。まさに「こんな生き方あったんだ」という番組テーマに繋がる素晴らしい体験イベントになりました。
勇気を持って参加してくださった若者の皆さん、本当にありがとうございました。役所の事業で若い方に響く企画を届けるのは難しい面もあるのですが、蓋を開けてみれば多くの方に関心を持って参加していただき、私たちも大変励みになりました。
木津 ぜひまたこういった企画をしたいですね。
村上 それでは、『こんないき方あったんだ』第5回でした。村さん、来月もよろしくお願いします!
村・木津 ありがとうございました!
全編はWebラジオにて!
この番組は毎月第4金曜日に配信しています。障害のある人もない人も楽しめる企画や、障害福祉の仕事を知れるセミナーの情報なども発信していきますので、お楽しみに!なお、区公式ホームページ内の当番組の紹介ページにお便り投稿フォームができました。番組で取り上げてほしいテーマやご質問等をお待ちしております。
配信・発行:杉並区保健福祉部障害者施設支援課
企画・制作:ネイバーズグッド株式会社
