ネイバーズグッド《2025年7月号》世界に誇る文化を身近に「あさがや能・狂言の会」 ほか

あとがき(代表コラム)

月に挑む姿勢と失敗の捉え方

 達成が非常に困難だが、実現すれば大きなインパクトをもたらすような、壮大で革新的な計画や目標のことを「ムーンショット」というそうです。ケネディ大統領がアポロ計画で月面着陸を目標に掲げたことが言葉の由来とされ、月(または火星)への挑戦は国内外で現代もしのぎを削っています。

 月に挑戦するほどのスケールには及びませんが、いわゆるベンチャーといわれる類の会社を経営していると、困難はつきものです。毎日、なにかと困難に苛まれている、といっても決して誇張でもないです。そんな日々をなんとか4年間、なんとか耐え凌ぐと、想定外が想定内になってきます。想定内に収まることはほとんどなく、想定外が起こることが当たり前だと知り、一つ一つにいちいち怯んでる暇もありません。

 そんな日々を生きていると、宇宙に行くことに興味はなくとも、究極の挑戦に挑む起業家たちの姿は糧として映ります。

 そんな興味で、打ち上げに関する報道はよく見ますが、そこに「失敗」に対するメディアの捉え方が、日本と各国とで本当に大きく違うなと感じます。特にアメリカと対して。

 下記は、2024年の各国での軌道上へのロケット打ち上げ回数を比較したグラフです。

2024年12月28日時点の各国のロケット打ち上げ回数(出典:Gunter’s Space Page

 挑戦の数が日本とアメリカとで20倍も差があります。挑戦の数が圧倒的に違うので、「失敗」1つの報道の存在感も自ずと大きくなり、成功しなかったことに対して責める空気も感じます。まるで違うスケールでの挑戦の世界ではあるものの、この空気感はどこか私たちの身近に感じたりしませんでしょうか。

 「失敗に対する圧が強い」から挑戦に躊躇してしまうのか、もしくは「挑戦の数が少ない」から「失敗」が目立つのか。

 月への挑戦については資金面が大きな課題であると思うので、とても精神論だけで収まる話ではないのですが、そこまでのリスクに至らない私たちが身近に感じる「失敗」については、どうなんだろう、とよく考えます。

 なんとなくお国柄のイメージとして前者、すなわち「失敗に対する圧が強い」ように感じます。しかし、それは挑戦者自身の肯定が大前提にあるような気もしてきます。一発にかける想い(自信)を強く持ちすぎているというか。

 そういった傾向は、私たちの仕事レベルに落とし込んでみるとよく感じる機会があります。デザインといったクリエイティブもとより、エクセルへの表のまとめなど、細かな仕事の一つ一つを最初から完璧なものを提供しようとする傾向が強く、その跳ね返りが失敗に対する圧の強さにつながっているようにも思います。失敗を許されてこなかったから、最初から完璧なアウトプットを目指してしまう、という見方もあります。が、そんなこと言っていたら堂々巡りになって仕方ない話です。

 なので、そこに「自分でコントロールできること」という一本の軸を挿してみることにしましょう。そうするとやっぱり、「成功」に向かうためには、いかに「挑戦」する数を増やすか。その努力に尽きてくるように思います。

 一回一回を全力で挑むことは、もちろんとても大切なことです。しかし、それは当たり前のことであり、「成功」のための「努力」の向けどころは「数」ではないか、と思うのです。

 そんなことで現在、ネイバーズグッドではさらなるステップアップのための「ムーンショット」を掲げ、その目標の到達へ向けて、数多くのロケットを打ち上げています。今年の4月から挑戦をし始めて、今日まで7発のロケットを放ち、本日、6発目の打ち上げの「失敗」が確定しました。スタッフも本当によくがんばり、また、周りの方々へ無理な協力もお願いさせていただいたりしたので、実を結ぶことができず心底悔しいです。そんな想いをこの3ヶ月で6回味わったわけですが、されど6回なのです。

 世界を席巻するドジャースの大谷選手を持ってみて見ても327打数94安打で、.287の打率です。立った打席の結果一つ一つに悔しさを覚えつつも、凡人の私たちが10打数も満たないうちにヒットが出せると思うのは傲慢だと奮い立たせ、次に挑戦します。

 


Index ネイバーズグッド《2025年7月号》
Topicks
世界に誇る文化を身近に「あさがや能・狂言の会」
今年も開催!「NEW ばか踊り 2025」
新企画「となりのクリエイターズ(仮)」はじめます。

月間インフォメーション
今月のネイバーズ募集
デザインワークス
今後のスケジュール

あとがき(代表コラム)
月に挑む姿勢と失敗の捉え方

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