世界に誇る文化を身近に「あさがや能・狂言の会」

 去ること5月24日(土)。約1年近くをかけて計画してきた「第八回阿佐谷薪能」は天候により中止という苦渋の決断を強いられてしまいましたが、併せて稽古を重ねてきた「子ども仕舞」は、同日、能楽殿にて披露いたしました。

 弊社が事務局を務めさせていただき、「阿佐谷薪能」を主催する「あさがや能・狂言の会」は、2017(平成29)年に始まり、3つの町会と地元企業、神明宮、地元有志の方による実行委員会となります。遡ること2009年(平成21年)秋。阿佐ヶ谷神明宮の大改修が完了し、今の神明作りの御殿・神門、祈祷殿、そして能楽殿が誕生しました。

 神明宮のように、野外に能楽殿がある神社というのは、実は日本で非常に限られており、明確な統計はないようではありますが、「常設の屋外型能舞台(神社などの境内にあり、自然の中で使用できるよう設計されたもの)」と定義すると、全国に10〜20か所程度と推定されるようです。

 そんな地域資源の活用をと、2017年当時に杉並区青少年育成委員会会長であった故 龍前 一榮さんの呼び掛けで阿佐谷北一丁目町会と北二丁目町会が中心となり、「薪能」の実施し、現在に至ります。

故 龍前氏と共に薪能を立ち上げられた市川氏(左から三番目)と実行委員の皆様 2025年撮影

 会長には阿佐ヶ谷神明宮の総代であり、世界的ジャズピアニスト山下 洋輔氏の実兄である山下 啓義氏(ご本人も山下明童という名で琴古流尺八のご指南)にお務めいただき、神明宮の齋藤博明宮司、重要無形文化財保持者である能楽師、観世流シテ方の小早川 修氏(写真左)と、地域的にも文化的にもご理解と長けた面々で構成されています。

 日本の古典芸能である「能・狂言」を体感できる機会を地域につくり、世界に誇る文化を身近で感じていただくこと。そして、伝統文化の根底にある精神や美意識に触れることで豊かな人間性を育み、地域での教育と文化振興に寄与することを目的に、年間を通して活動しています。

 その志は、今年披露させていただいた「子ども仕舞発表会」にて、稽古を重ねてきた子どもたちの表情からも表れてきているかと思います。

All Photo by トリー・セイコ

 能楽師、小早川先生のご指導の下、無料で全13回の稽古を実施しています。初めて能に触れるの子どもたちがほとんどですが、発表の場では大人を魅了するほどに成長していきます。

 今回、有料の公演となる本編が天候による中止となってしまったことで、全額払い戻しを行ったことで、今後の活動費に対する課題を大きく残すところになりましたが、「想い」と「伝統」は絶やすわけにはいきません。弊社としても、イベントを実施すること自体が目的ではなく「助け合いの地域社会」の実現と、地域が主体となり、未来を共につくりあげていくことがミッションです。

 今回の財務処理を終えてから、また継続へ向けた挑戦をし続けていきたいと思います。来年の開催の実現をぜひ応援のほどお願いいたします。また、子ども仕舞稽古も募集中です。


Index ネイバーズグッド《2025年7月号》
Topicks
世界に誇る文化を身近に「あさがや能・狂言の会」
今年も開催!「NEW ばか踊り 2025」
新企画「となりのクリエイターズ(仮)」はじめます。

月間インフォメーション
今月のネイバーズ募集
デザインワークス
今後のスケジュール

あとがき(代表コラム)
月に挑む姿勢と失敗の捉え方


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