
「地域と関わってみたい」、または「地域と関わるとはどういうことだろう?」と、いった方へ向け、私たちの活動を過去形ではなく進行形で、かつ体系的に伝え、読者の方々に地域と関わるキッカケをつくるのために始めてみたこのWebメディア。今号で早くも創刊から1年が経ちました。
続けられるどうか。そんな不安はありましたが、いざ、始めてみたらネタに困ることはなく、むしろ毎月毎月、伝え切れないほどの出来事に囲まれ、みなさんに支えられて今があることを改めて実感させられる機会になっております。この場を借りて感謝申し上げます。
さて。そんな一周年を経て、このメディアで取り扱わさせていただく幅を増やしていきたいと考えています。現状、仮称ですが「となりのクリエイターズ」というコーナーを来月号より始めていきたいと思います。
「助け合いの地域社会」の実現にあたって目下のミッションとしては、「気持ち」だけに依存しない地域貢献を目指しています。地域や人に対する「気持ち」はとても大切です。しかし、それは甘えを生みやすく、ことなくして当たり前となってしまい、「気持ち」ある人はやがて疲弊、失望し、離れていってしまいます。
一昔前は、有志のみんなで集まって時間と身体を提供し、人海戦術で地域貢献につなぐことができました。しかし、少子化をはじめ、インフレや賃上げの課題にも直面し、お金も時間もますます余剰がなくなってきています。さらには、莫大な「情報」を扱うことに伴うデジタル導入の必至など、地域貢献のあり方も高度化しています。
担い手不足で数々の自治会の閉鎖やイベントの終了が相次ぎます。、もう昔の価値観での地域貢献は割に合わなくなってしまっている、というのが長らくさまざまな現場に携わってきた実感です。
「故きを温ねて新しきを知る」という言葉があります。弊社が大切にしている価値観の一つです。単に斬新なことをゼロベース始めるのではなく、昔良かったこと、うまくいっていたことの本質を見つめ直し、現代版にカタチを変えていくことが、世代を超えた理解につながると考えます。
本新企画では、クリエイターの商店街をつくっていきたいと考えています。肉屋、魚屋、靴屋に本屋…。商店街を歩けば目的の品を定め、そして店主の人柄も感じることができました。
農業社会から工業社会、そして情報化社会へと社会が移行する過程で、デザインや動画、文章の執筆、写真…と、情報を生産、加工するクリエイティブに需要が生まれ、ツールの進化やコストダウンにより、供給が民主化されました。
クリエイティブの世界は基本的にオーダーメイドであり、どんなものができるのかは発注してみないとわからない、という不安が伴います。巷でお店を構えているわけでもないため、どこの誰に頼めばいいのかも分かりにくいし、陳列されたリンゴやキャベツの値段を見るように、商品の相場を掴む環境もほとんどありません。高級寿司屋のように、のれんをくぐって、カウンターの席について「時価」と書かれたネタを恐る恐る注文する感じに近いように思います。
一方で、クリエイターサイドとしては「クリエイティブの価値がわかってもらえない」と嘆く声もよく聞きます。先の寿司とは違って、頼んで食べてみて「美味い!」と価値を実感させられるようなものでもありません。「なんかいいね」や、ふとした共感など、無意識のうちに心を動かさせるものを提供する世界です。そして、それはお金を払うクライアントではなく、その先の消費者へ向けて響かさせなくてはなりません。クライアントが雲丹(ウニ)を好きなのか嫌いなのかの、の好みではなく、消費者に「食べてみたい」と思ってもらえる雲丹を魅せていかなくてはなりません。
前振りがすっかり長くなってしまいましたが、創り手の作品をはじめ、仕事に対する想いや、美学、哲学に触れられてるコーナーを展開し、「この人に頼みたい」と思ってもらえるようなプラットフォームをつくっていけたらと思っています。
私たちは「デザインの力で地域をもっとおもしろく!」というモットーを掲げ、高いクオリティーのクリエイティブを発揮するために、一つのプロジェクトの中でさまざまなクリエイターと組んで仕事をしています。こんな雰囲気を求めるならこの人、完成における具体的なイメージを持たれていないので、丁寧に伴走し、素敵なアウトプットへ導いてくれるならこの人…。といったように、いつもご相談を受けると同時に、私たちの頭ではクリエイターの顔も浮かべています。そんな私たちの頭の中で浮かぶ人たちを、商店街に並ぶお店のように可視化していけたらな、と思います。
現状、「クリエイター」という言葉を使っていますが、イベントや場づくりなど無形の価値を生み出している方々を取り扱わさせていきたいと考えています。しかし、その中でも、「活動」ではなく、あくまで「仕事」として向き合っている方に限りたいと考えています。「活動」は「活動」で、素晴らしいことであり、人のアイデンティティにも欠かせない要素の一つであると思いますが、私たちとしては、疲弊せず、継続的な地域貢献の実現のために「仕事化」は見据えていかなくてはならないと考えているからです。
ともあれ、来月8月号よりスタートしていきたいと思いますので、楽しみにしてくださると幸いです。
Index ネイバーズグッド《2025年7月号》
Topicks世界に誇る文化を身近に「あさがや能・狂言の会」
今年も開催!「NEW ばか踊り 2025」
新企画「となりのクリエイターズ(仮)」はじめます。
月間インフォメーション
今月のネイバーズ募集
デザインワークス
今後のスケジュール
あとがき(代表コラム)
月に挑む姿勢と失敗の捉え方
