あとがき(代表コラム)
「継続」と「スケール」と
おかげさまで、弊社ネイバーズグッドは11月をもって第五期を終え、12月より第六期目を迎えました。第三期目より黒字化し、今期もなんとか黒字で着地に至りました。これもひとえに支えてくださる皆さまのお陰です。誠にありがとうございます。
経営の「け」の字も財務諸表がなにかもわからず、「えいや!」と起業をしてしまい、おかげでかなりの痛みを伴いながら、今に至りましたが、石の上にも三年と言われるよう、すこーしずつ経営たるものを掴んでこれたように思います。(私の場合は五年経ってやっと、ですが)
社員数は3名にアルバイト1名、役員は私を含め2名と、気がつけば6名、このネイバーズグッドという船に乗ってそれぞれがんばってくれています。
自転車操業で毎月末「給料が払えないかも、、」「倒産するかも、、」と胃が痛い思いを続けていますが、なんとか給料の支払いもしかり、融資の返済も遅れることなく、なんだかんだで五年間やってきています。
お金のことの辛さは常にありますが、それ以上に辛いのはやっぱり人間関係であるように思います。特に、私たちのような「想い」が強めの会社においては、良くも悪くもさまざまな期待を寄せていただきます。私が困ってしまう(揉めてしまう)ときは、「活動」と「仕事」を履き違えてしまったときだな、と最近は分析します。
ネイバーズグッドの日々の発信から「活動」と捉えられがちですが、あくまで私たちがやるべきは「仕事」です。この解釈の違いと期待のギャップにより、ときに互いに失望をしてしまったり、精神的なダメージを被ってしまうときがあります。
私自身もその棲み分けはしっかり認識しておかないとなりません。「仕事」を求めるのは従業員にであって、まちづくりにおいて一緒に関わってくださる方々には「活動」を求め、求められなくてはなりません。仮に、金銭が発生するお仕事として関わってくださる方がいて、「活動」の気持ちの延長で中に入ってしまうと、そのギャップから辛い感情が生まれてしまうかもしれません。
自分で言うのもなんですが、私について「優しくて温厚」なイメージを持たれている方も多いかと思います。「活動」か「仕事」かよりも、「仕事」に対して私が求めること、そのイメージとのギャップが歪みを生む要因なのかもしれません。1,000万近く借金を抱えて興した事業なので、楽しく、仲良くでは「仕事」はやっていけないのです。…が、それは経営者の宿命であり、従業員や一緒に働く仲間に強要、共感を覚えさせても仕方がない、というのもこの五年間で学んだことです。
昨年は本当に忙しすぎて、ここ数年で一番本を読んでいない年になりましたが、数少ない読書の中で、安藤 広大氏の著作「優しい社長が会社を潰す」には、思い当たるタイトルが刺さり、購読しました。安藤 広大氏は、株式会社識学の創業者で代表取締役社長の方です。NTTドコモを経て、ジェイコムホールディングス(現:ライク)のジェイコムで取締役営業副本部長等を歴任され、2013年、「識学」という考え方に出合い独立。創業からわずか3年11カ月でマザーズ上場を果たし、2022年3月現在で約2700社以上に「識学」を導入され、実績を残されています。
この「識学」。私の解釈としては、平成以前の会社のあり方を体系化させたロジックだと捉えています。パワハラをはじめとするコンプラや、売り手市場の求人により統制の取りにくい現代だからこそ、「仕事」において、改めて理解すべきことなのではないかと感じています。
しかしながら、極端なこの「識学」をそのまま弊社に導入するのは性に合わない部分もあるかと思っています。それは、2025年12月12日付でサイバーエージェントの社長を退任され、会長となられた藤田 晋氏の考え方に至極共感を覚えております。それが語られている箇所の動画を掲載させていただきます。
私自身、デザイナーあがりの経営者である中、クリエイター自身の感性やアプトプットのクオリティを最大化させるためには、合理性を突き詰めてはならないと考えています。藤田氏は、それを我慢と言われていますが、私は逆で、「識学」的な要素を我慢して用いています。「仕事」をこなす上で必要な「識学」的なアプローチをすることで時に従業員からの反発を受けたりしますが、そこに我慢が必要です。非デザイナーであれ、弊社の従業員は創造性豊かなクリエイターだと考えている(むしろそうでないと務まらない)ので、彼女たちのクリエイティビティーの最大化を基本としつつも、少数精鋭で利益を上げるためには責任を追及する必要がある、ということです。
なんとか黒字…と聞こえはよかれど、売り上げるべき金額としてはまだまだです。今の会社の規模では2倍近く伸ばさないと生産性は一般以下です。稼ぎにくいという「市場の原理」もあります。個々の能力の向上と並行し、能力を活かせるカタチのまま、稼げる市場に少しずつ移行していく必要があると考えています。
つい最近までは「稼ぐ」ということに抵抗を感じていました。それは、富や名声がモチベーションにならない私の性格もさることながら、この会社が「活動」から始まったからかと思います。
しかし、会社経営を始め、またその最中にも周りの「活動」の限界を多々見てきて、地域課題に対してスケールのある解決が出せない現状を痛感し、「納税」できる力の必要を感じてきています。「納税」によって、「福祉」を支える。その大切さを、昨年たまたま企画した町会のバス旅行で訪れた渋沢栄一記念館より学びます。

とある上場企業さんは、十数億円ずつの税金を都内各自治体に落としており、年間2兆円もの納税をし、福祉や政策に貢献しています。会社として大きく稼ぐ。もしくは他の企業に稼がせることに注力した方が、いい社会をつくる力にはなるのではないかと最近は考えています。
では、「活動」からは何も生まないのかというと、そうではありません。気持ちのコアの部分であり、一人一人に向き合うために非常に大切なことです。ニッチな専門性も「活動」から蓄積されていきます。そんな想いのある方々が「活動」をし続けられるような土壌をつくっていく。それが営利企業としての役割であり、目指していきたい目標です。
最後に、並行して難しさを覚えるのが、本号におけるテーマでもある「文化」づくりです。記事にも書いた通り「文化」の営利化は衰退を生みます。なので、「文化」は「活動」から生じ、紡ぐのです。稼ぐべきところで稼いで、「文化」づくり、継承に寄与できる体力もつける。
それがこの六期以降、会社として目指すべき目標です。
Index ネイバーズグッド《2026年1月号》(2025年下半期合併号)
Topicks
「文化」と「ビジネス」
阿佐谷ジャズストリートの「伝承」と想いの「継承」
ネイバーズグッドが「防災」に関わる理由
月間インフォメーション
今月のネイバーズ募集
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