あとがき(代表コラム)
引く(退く)のも一歩
先日、杉並区の「社会教育」の事業を受講された方を限定に、『大人の学びを考える 〜次のいっぽをみつけよう!〜』といったイベントが実施され、「すぎなみU30ミーティング」という場を提供させてもらっている学習支援者の一人として登壇もさせていただきました。


その登壇の最後のお題としての「次の一歩」の問いに対し、『引く(退く)のも一歩』と答えました。
これから、社会に対して何かしらのアクションを興したいと思われている方々が参加されるイベントでもあったので、きっとネガティブに捉えられたかもしれません。実際にあんまり反応もよくありませんでした。
しかしながら、人生100年と言われる時代だからこそ、「引く(退く)」とこに意義があり、『大人でしか学ぶことができない』専売特許であるように考えます。
私は、30歳以下を対象にした社会教育の場づくりに携わられていただいておりますが、ふた回り近く、もしくはそれ以上違う世代の方と同じ目線に立って時代を捉えることはできません。そういった中で若い世代に必要な場を提供し、一定のご評価をいただけたことは、やはり「引く(退く)」ことに徹したこと。それが功を奏したからだと感じています。若い世代が思いっきり遊べる環境の用意だけ周到に行ったらあとは任せる。どんなカルチャーも新しい世界を生み出すのは若い世代からです。若い世代の存分のエネルギーが次の歴史となる種をつくっていきます。
そして、デザイン畑の人間は「引く(退く)」という行為を全体を美しく仕上げるための不可欠な要素と捉えています。しかし、不可欠といえども簡単なこというわけではありません。それが社会というフィールドとなると一層、そうではないでしょうか。
デザインという二次元の世界では「引く(退く)」側だけの人間の選択に過ぎませんが、そのフィールドが社会となると「引かれる(退かれる)側」の存在もあるわけで、双方にとてつもない勇気を強いられます。
おかげさまで6期目となったネイバーズグッド。「気持ち」だけに依存しない助け合いの地域社会というミッションを果たすために、「引く(退く)」選択を迫られる機会も増えてきました。応えたい気持ちは山々でも、不採算ではやはり撤退をしなくてはなりません。たまたまかもしれませんが、「私たち(ネイバーズグッド)のため」と、提供される事業が不採算になる傾向があります。本気で想ってくださっているのであれば、嬉しい限りではあるのですが、結果が伴わない限りはとそこに気持ちがあるとは思えません。相手の想いに対する見極めは難しいところではありますが、ビジネスベースの話で数字がついてこなければ、こちらから見限らなくてはなりません。 「引く(退く)」ことで、不採算事業にかけていたリソースを別に充てる判断をしなくては、一見いいことのように見えても、長い目で見て社会貢献にはなっていきません。
お金が全てではありませんが、お金をつける努力がそこにあるのか大切です。その先に儲けがあり、納税して福祉につなげる。
闇雲に前進することが善いとことは限らないことを痛感することが多かったので、『引く(退く)のも一歩』という言葉がふいに浮かびました。
Index ネイバーズグッド《2026年3月号》
Topicks
人のつながりと「社会教育」
まちづくりにおける「にぎわい」とは?
「阿佐ヶ谷から真打を!」大衆文化を再び地域に
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