杉並区にて2023年より携わらせていただいている社会教育事業。大変ありがたいことに次年度も継続とさせていただき、5年目に突入しました。元々そういった勉強をしてきたわけではないのですが、日々のまちでの取り組みと「社会教育」の分野は密接のようで、現場から得られる人とのつながりから感じる”善さ”や”豊かさ”、その関係構築の過程が「社会教育」でいうところの「学び」であるようです。
社会の成熟、進化するテクノロジー、その副作用からなる人間関係の希薄化…。そんな背景よりこういった分野の重要性が増しているように感じられます。
「社会教育」という分野に足を踏み入れさせてもらうと、なんとも抽象的な印象を受けます。なぜだろう?と考えてみると、私たちが生きる社会に対し、可変的である必要があるからだと感じています。仮に『これが「社会教育」である』と、絶対的なものにしてしまうと、イズムに近くなり、「社会教育」の本質からズレていくように感じます。難しい話ですね。
人と人とのつながりにおいて、「なんかいいな」、「大切だな」と感じる普遍性がありながらも、それを感じるための入り口は時代と共に変わっていく、そんな感じです。
私たちが担当させていただいているのは、主に若い世代を対象とした「社会教育」となります。”Z世代”という言葉の誕生が象徴するように、若い世代に対するアプローチや接し方について、行政も企業も長らく困っている時期が続いているように思います。そうこうしているうちに”α(アルファー)”なんていう世代も誕生しています。
「どうしたら若者が集まるのか?」「若い人にぜひ参加してもらいたい」
そんな相談をいただく機会いただけることをとても有難く思うと同時に、「どうして理解しようとするのか」そんな疑問も抱いたり。人からの相談に限らず、メディアもそうです。新聞なんかを開けば、〇〇世代の傾向が分析されていたりします。世間は理解を求めていることを感じます。そんなことを言ってしまったら身も蓋もない話になってしまいますが、求められることには精一杯に応えます。だからこそ、この「社会教育」という分野を理解したい気持ちが高まっているように思います。
杉並区にて請け負わさせていただいている社会教育事業では、カリキュラムが終了したタイミングで、アドバイザー会議という事業の評価をいただける場があります。玉川大学学術研究所客員教授、文部科学省国立教育政策研究所フェローである笹井教授をはじめとしたその分野に精通された有識者に意見を教授させていただく機会です。
アドバイザー会議と名付けられているものの、上から評価するようなことはなく、時代と共に変わり正解のないことに対し、互いに学んでいるような場です。ご謙虚さもさることながら、やはりそんな姿勢を見ると終わりのない研究の分野なのだと感じさせられます。
さて。長ったらしい話になってしまいましたが、今回本TOPICで取り上げさせてもらったのも、この「社会教育」に付随する、人との関係における「なんかいいな」という部分をもっと言語化させ、解像度を上げるタイミングなのではないかな、と感じます。
杉並区に限らず行政は対話を重視し始め、ボトムアップ型の地域づくりが盛んになってきています。私たちにも、そんなワークショップ構築のご依頼をいただくことが増えてきましたが、どうしても発散型にとどまってしまい、まだそれで満足してもらえる社会レベルにあると思います。
ワークショップの機会を重ね、参加者各々のリテラシーが上がってくると、そこから先のフェーズへ向かうスキルを求められるようになると思います。人と人がつながったとき、なぜ私たちは「いい感じ」を受けるのでしょう。人と人とが出会えば全てが「いい感じ」にはならず、どうつながったか、そのキッカケも大切です。
私たちは「社会教育」の入門として、わかりやすさを心がけています。若い世代が中心となり企画した運動会に地域の老若男女が参加する。そんな環境を提供しています。そういった「社会教育」の学びの場を杉並区さんはいくつか並行して行っているのですが、その中の総合コースにて、今年度は「ゲンゴカ・ラボ」という講座を実施されていました。


総合コースの学習支援者として担当されているのは株式会社アソボットの代表、伊藤剛さん。
外資系広告代理店に勤務後、カルチャー雑誌の編集部を経て、2001年にアソボット設立。「伝えたいコトを、伝わるカタチに」をコンセプトに、さまざまな分野のコミュニケーションデザインを手がける。主な仕事として、ジャーナル・タブロイド誌『GENERATION TIMES』の創刊(2004)、NPO法人『シブヤ大学』を設立する(グッドデザイン賞2007 新領域デザイン部門受賞)。また、国内の難民問題や子どもの貧困・虐待、高齢化問題など日本の社会課題を支援するソーシャルセクターのコンサルティングを行うほか、東ティモールやネパールなど国際協力の分野にも専門家として関わっている。その他、東京外国語大学大学院「平和構築・紛争予防専修コース」では、広告PR等のコミュニケーション戦略の視点から平和構築を考える修士カリキュラム『PEACE COMMUNICATION』を担当。2019年からは、早稲田大学国際教養学部で新カリキュラム『LEARNING DESIGN』を立ち上げるなど、ラーニングコンテンツの開発も手がけている。
引用元:株式会社アソボット コーポレートサイト
自分の講座を組み立てることで精一杯だったため、残念ながら参加することはできなかったのですが、内容を伺うとまさに半歩先の時代を捉えられた取り組みだと感じました。
漠然と「いいな」、もしくは「嫌だな」「変だな」と感じることを言語化することは、特にAIというテクノロジーが定着しつつある昨今にとても必要な思考回路のように思います。
来年度、私たちは再度運動会に挑戦していきますが、どこかのタイミングで、この人と人とのつながりから生まれる「なんかいいな」を言語化し、それがさまざまな場面で再現化できるような試みもやってみたいなと思います。
人と人との出会いから生まれるこのいい感情は、一体なんでしょうね。
Index ネイバーズグッド《2026年3月号》
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