ネイバーズグッド《2025年1月号》福祉と防災「震災に備えてつながるカフェ」 ほか

あとがき(代表コラム)

地域貢献の実感が必要

 2024年も大変お世話になりました。毎年、弊社では年賀状を出させていただいていたのですが、この年末に体調を崩してしまったこともあり、どうしても手が回らず、このネイバーズグッド1月号を年賀状に替えさせていただくことお許しください。また、体調につきましてご心配おかけしてしまい、申し訳ございません。本調子になるにはもう少し時間がかかってしまいそうではありますが、がんばり方を改めなくてはならない機会だと本厄の年に切実に感じております。

 今回、町会のバス旅行では埼玉県深谷市にある渋沢栄一記念館を訪れました。予算と距離を条件に設定した目的地ではありましたが、このタイミングで渋沢栄一氏の功績に触れられたことは個人的に感慨深い機会になりました。記念館で渋沢栄一の容姿と声を復元したアンドロイド講義にて聴いた「道徳経済合一説」は思わせられることがあり、「論語と算盤」を始め、渋沢栄一関連書籍を読む動機になりました。

 時代が令和に移り変わった今、「道徳経済合一説」は逆の観点で読む必要があると感じます。人として善い行いに対し、どう経済価値をつけていくのか。特に、日本ではボランティアという言葉の解釈が代表するように、善い行いに対し、経済的対価がつきにくい文化が根付いています。だからこそ、国際的なスポーツの試合におけるゴミ拾いなど、海外の方より賛称される国民性につながっている側面もありますが、経済的な評価につながりにくい環境は、今の若い世代に夢を与えないようにも思います。

 モノが足りなかった時代においては、需要と供給はもっとシンプルなもので生活に必要なものをつくれば売れる時代でした。その取引において人としての善さよりもより多くの利益の追求が正義であったため、それに異を立てたのが、渋沢栄一であったと考えます。足りないものがなくなった現代においては、それぞれの人生がより豊かにするためのモノやサービスにお金を払うため、その納得が求められます。その納得の一つに「善さ」が一役買うわけではありますが、残念ながら今の日本の景気に余剰がなく、「安さ」という価値には敵わない状態にあるように感じています。

 「まちづくり」といったソフト事業において、いいものを安く提供することは難儀です。一つ一つがオーダーメイドで人の可動と時間を要します。想いを共有した有志のボランティアで力を合わせればできることもありますが、継続性に欠け、今どこの自治会、商店街、地域団体も担い手不足の壁に直面しています。また、まちに対する想いというのは関わる人それぞれにあるため、組織としての統制が取りにくいという面もあります。カタチとして目には見えないもの価値を伝えることも難しく、一つずつ実績を重ねていくほかありません。

 そんな「まちづくり」のソフトの面において、いいものを安く提供できる素晴らしい仕組みとして「福祉」があります。働いて得たお金を住んでいる地域に税金を納めることは、それだけで立派な社会貢献になるはずなのです。しかし、払った税金がどうなっているのかが見えにくく、納税が「善さ」につながっている実感が湧きにくいことが問題のように思います。(収支の公表といった徴収された全体の金額の使途の内訳よりも、クラファンやふるさと納税のように、払ったお金が個々にどんなリターンをもたらすかがわかりやすくなるといいですね。)

 昨年、「震災に備えてつながるカフェ」というイベントを企画させていただいた中で、「福祉」の凄さ、そこに勤める方々への尊敬の念を覚えました。一方で、完成されたシステムの中では細かな部分までも抜かりなく機能しますが、システム自体を設計することはできないという面にも触れます。個々の能力というよりは、緻密に構築されているがゆえ、今までやったことがない動きには対応ができないのです。なので、今回弊社にお呼びをかけていただき、本イベントを企画する機会に恵まれました。

 とりとめのない話となってしまいましたが、とにかく、個人や団体がまちづくりにおいて「善い」行いをしようとした際に、すでに「福祉」という一つの完成されたシステムがあるため、発信する側も参加する側もどうしてもそれを基準にして考えてしまう傾向はあると思います。税金という財源もないのに、安く提供することを正と考えることにたまに疑問を覚えるときがあります。その活動の趣旨にもよりますが、福祉だからこそできることは福祉にバトンをつないで、民間は民間にしかできない方法で社会貢献を考えるべきだなと思っています。…最近、このようなごく当たり前のことにやっと気が付くことが多く、真剣に語ることに恥ずかしさも覚えてしまいますが、とりわけ「道徳」の部分から起業に至ったネイバーズグッドとしては、遠回りでも企業というものを理解し、社会を考えることは大切だと考えています。


Index ネイバーズグッド《2025年1月号》
Topicks
福祉と防災「震災に備えてつながるカフェ」
「町会バス旅行」大好評!
今年も5月に開催「阿佐谷薪能」

月間インフォメーション
今月のネイバーズ募集
デザインワークス
今後のスケジュール

あとがき(代表コラム)
地域貢献の実感が必要

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